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無盡燈ギャラリー・畠中光享の世界

No.136(2011/9) 「煙」
No.136
 私は週1回大谷大学でインド美術の講義を行っておりますが、2限目の授業が終わり3限目の授業の前に、「先生一つどうですか」と菓子箱を差し出した学生がいました。震災のボランティアに行ってきて帰りに仙台で買ったというお菓子でした。私も若ければボランティアに行くのにと思っていましたので、嬉しい思いがしました。60余年生きてきても、一寸先が見えないのです。過去があり、今がある。そして未来への希望がなければ、生きることはとても苦しいのです。常に想定外のことはありえます。
 3月11日の東日本大地震では、我が身に置き換えて考えてみる機会を与えられました。他人事とは思えません。少しの期間の生活費などではなく、これから生活していくことの希望への役に立ちたいものです。地震は天災ですが、原発事故は人災です。日本の原発のほとんどが海岸にあり、今度のような大津波がくればひとたまりもありません。
 私はインドとイギリスで多くの原発を見てきました。日本と違い原発の煙突はカルデラ型で、恐ろしい程美しい形のせり上がりを持つ、人間のつくりえた巨大なものを畏怖してきました。インドでは、仏跡巡礼の拠点となるパトナには町の中に原発がありますし、南インドの仏教遺跡のアマラヴァティに向かう途中の延々と続くバナナ林の先にも原発が見えます。私が染織の調査で訪れるグジャラート州には8基の原発があります。1970年にその新州都となったガンディナガールはフランスの建築家ル・コルビジェが都市計画をしていますが、36年前に訪れたとき
は出来立ての原発の下で、掘立小屋がたくさんあり、そこの水を飲み悲惨な生活をしている人々を目にしました。そこから原発を見て巡ることとなりました。そこにはつい数年前にも訪れましたが、塀一枚で原発と人家が仕切られただけで原発は稼動し煙突から白い水蒸気を出しています。
 今回の事故は世界中の人々にとって原発の是非を考える機会となりました。いったん外に出た放射能は簡単には消えてくれません。目先のことや、自身の欲や得でなく、ひたすら人間の幸せを願い行うことと思います。自然の恐ろしさを知ると共に、その力や姿を敬い、足るを知って生きていく覚悟が必要となってきました。
畠中光享(1970年文学部卒)
日本画家・大谷大学非常勤講師
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