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無盡燈ギャラリー・畠中光享の世界

No.129(2008/3) 「ネパールの春」
No.129
 ネパールはインドと中国という大国の間にある小国である。北側はヒマラヤ山脈で区切られ、南側はタライ平原がインドと接している。タライ平原地帯は古くからインドと混合していてルンビニなど仏跡がある。ネパールの歴史、宗教、美術、建築の中心はカトマンドゥ盆地のカトマンドゥ、パタン、バクタプールとキルティプールに集中している。カトマンドゥ盆地での歴史は古代碑文 により多くの事実が解明できるが、最も古いのは、5世紀中葉のものでカトマンドゥの東南にあるヴシュヌ神の ヒンドゥ寺院チャングナラヤンにある。
 インドでの仏教は5世紀以降のヒンドゥ教化、即ち密教化することによる変容とそれに伴う弱体化、10世紀以降の強烈なイスラムの侵攻により13世紀の前半までには完全に消滅してしまうが、山深いカトマンドゥ盆地ではそのインドの後期仏教、即ち密教がヒンドゥ教と共に現在に至るまで続いている。脈々と続く仏教の儀礼は興味深くその儀礼はバジュラチャリヤ階層の在家仏教徒によって執り行われている。そういった意味でもカトマンドゥ盆地は大変に興味深い。大乗仏教を学ぶ上でも益々の調査、研究が望まれる。
 私は34年前に初めてそこを訪れてから、時折り喧騒のインドを離れ、ネパール美術を調査したり、写生をしたりする日々を過ごした。カトマンドゥ盆地の西南の丘にある私の好きなキルティプールは当時訪れる観光客もなく、食事をするところも無かった。古い建築物ばかりの村で各戸ごとに手織りの機の音が響いていた。キルティプールの周辺は緩やかな丘陵地帯で、今でも春には菜の花そっくりなマスタードの黄色の花が咲き乱れ、その香りが世界を覆うが如く、まさに桃源郷のようなところで、その中の畑の小径を通り、次々と村々を歩いたことは、今でも至上の喜びであったと思える。人間の持つ五感でその場の全てを体内に吸収することは大切なことのように思えてならない。
畠中光享(1970年文学部卒)
日本画家・大谷大学非常勤講師
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